期待値依存症の廃人が鮮血に染まる夜

『ギャンブル依存症』

この言葉を聞いて、
あなたはどのようなイメージを浮かべるでしょうか?

ギャンブルのせいで借金まみれになり、
生活に問題が生じているにも関わらず、
ギャンブルがやめられない・・・

こんな風に思っている人がほとんど
なのではないでしょうか?

たしかにその通りです。

でも僕が学生の頃に患った依存症は、
世間一般のそれとは少し違いました。

ひたすら期待値を追い続ける日々

お金の山

バイトを辞めて、大学生になり、
時間の自由ができてからは、
ますますスロットにのめり込んでいきました。

当時は設定狙いが中心で、
同じ店舗を中心に立ち回るジグマスタイル。

しだいに僕と同じように、
スロットで勝っている知り合いも増えてきました。

友達に勝ち方を教えたり、
同じ店で打っていたのがキッカケで友達になることもありました。

朝から閉店までスロット

閉店後、飯食って朝まで徹夜で麻雀

そのまま一睡もせずに、朝からスロット

なんていう、無茶な生活もしていました。

天井狙いに比べて設定狙いは、
個人よりも集団で動く方が、
断然有利に立ち回れます。

  • 各機種に6投入
  • 全5・6の機種が複数あり
  • 末尾●がアツい
  • etc…

当時は本当に色んなイベントがありましたが、
設定狙いって店側・客同士の情報戦です。

自分が打ってる台だけじゃなくて、
同機種の他の台(横の比較)から
他の機種(縦の比較)まで、
ホール全体を見渡す必要があるんですね。

ノリ打ちは好きじゃないのでほとんどしませんでしたが、
知り合いが多かったので本当に有利でした^^

10人もいなかったですが、
割と目立ってたのか、2chの地域スレで
●●軍団とか言って晒されてました(笑)

メイン店舗以外のおいしい店の情報も入ってくるので、
さらに稼ぎやすい環境になっていきました。

本当にアツい日は、片道1時間半以上かかる店に、
早朝から並ぶこともありました。

大学の勉強やサークル・遊びよりも、
スロットのイベント日を中心に
スケジュールを立ててました。

ひたすら期待値を追い続ける日々・・・

とにかく勝つことに貪欲でした。

夏休み中など、学校がない時期は
連日フル稼働して月間収支が100万円を
超えることもありました。

実家暮らしで、
生活費はほとんどかからなかったし、
物欲はほとんどなかったので、
貯金はどんどん増えていきました。

趣味のスロットで好きな時にお金を稼ぎ、
お金を気にせずに好きなだけ遊ぶ。

廃人のような生活でしたが、
金銭的には自由だったし、
それなりに楽しい日々を送っていました。

しかし、ふとしたときに
虚しさを感じることもありました・・・。

「こんなに必要以上のお金を貯めて、
僕は何がしたいのだろうか…?」

ただの金儲けのために、スロットを打ち続ける毎日。

「お金を貯めて何かしたい」
という明確な目的もありませんでした。

スロットの楽しさが日々減っていったのも
当然かもしれません…。

高設定を掴んだら、
あとは閉店まで回すだけの作業でした。

いつしか勝つことの喜びも薄れていきました。

でもアツいイベントの日になると、
どんなに疲れていても、朝早く起きて、
気付いたときにはパチンコ屋に並んでいました。

打たずに家でゴロゴロしていると、
それだけで損した気分になってしまうのですよね^^;

1日で5万円の期待値を稼げる日に、
打ちに行かずに他のことをしていたら、
5万円まるまる損したような気持ちになるんです。

経済学でいう『機会費用』の考え方ですね。

目に見える期待値をスルーできない・・・

僕はすっかり『期待値依存症』になってしまいました。

来る日も来る日もパチンコ屋に通う日々。
自分の体を限界まで酷使し続けました…。

そんなある日、
ついに事件は起こってしまったのです。

廃人が鮮血に染まる夜

倒れる人

いつものように朝から
稼働していたある日のことです。

気付けば1週間以上も朝から閉店まで
フル稼働でしたが、特に気にすることなく、
いつものように狙い台をピンポイントで確保!

昼過ぎには設定6が濃厚となり、
「あぁ、今日も閉店コースか・・・」
と思いながら、ぶん回しの作業に没頭しました。

いつもと同じ店で、
いつもと同じルーチンワーク。

その日はヒキにもかなり恵まれて、
万枚を達成することができました。
(機種は5号機の初代戦国無双でした)

でもこの日はいつもにも増して、
疲労感がひどかったんです。

本当は打っている最中も、
帰りたくて仕方なかったんですが、
せっかく掴んだ設定6を捨てるわけもいかなないし、
なんとか閉店まで打ち切りました。

閉店後はさっさと家に帰り、
「さすがに明日は休もう・・・」
と思って床に就きました。

そして・・・

「・・・!!なんだ?この猛烈な痛みは!!?」

その日の深夜3時ごろ、
僕は突然猛烈な腹痛に襲われたのです。

30分ほどじっと耐えてたのですが、
腹痛はおさまるどころか、
ますますひどくなっていきました。

腹の内側から針を刺されるような、
生まれて初めて感じるレベルの腹痛でした。

痛すぎて、まともに歩くことすらできない。

変な汗も出てきた。

さすがにやばいと思った僕は、
親を起こして助けを求めました。

僕の異様な様子を見て、
すぐに救急車を呼んでくれました。

救急車の到着を待つ間も、
僕は必死に痛みに耐えていましたが・・・

突然、吐き気に襲われて、
トイレに駆け込んだのです。

そしたらなんと・・・

僕の口から出てきたものは、
真っ赤な血に染まっていたのです。

(お食事中の方いたらすみません)

真っ赤に染まる便器…
この時ばかりは、さすがにパニックになりましたね^^;

「もしかしたら僕はもう死ぬかもしれないな」
とリアルに1%ぐらい脳裏によぎりました。

「あぁ、僕の体の中で何が起こっているんだ…」

痛みと不安と恐怖に耐えながら、
救急車の到着を待ちました。

苦しすぎて時間の感覚は曖昧になり、
何分経ったのか分かりませんが
真夜中の住宅街に救急車がやってきました。

運ばれている間の記憶も曖昧ですが、
とにかく腹が死ぬほど痛かったのだけは覚えてます。

薄れゆく意識の中で、
僕は体調に異変を感じながらも
無理して終日打ち切ったことを後悔しました・・・。

明け方に目が覚めたときには、
病院のベットの上でした。

腕には点滴の管が繋がれていて、
昨晩の痛みは不思議と消えていました。

お医者さんによると、
僕は『急性胃腸炎』というのを患っていたようです。

原因は不明ですが、
おそらく連日のフル稼働で
体も心も限界に達していたのでしょうね…。

期待値が何よりも優先だった僕でしたが、
この救急車で運ばれた日を境に、
スロットはしばらく控えるようにしました。

この記事では書ききれなかった
エピソードは【番外編】としてまとめてます。

稼ぐための立ち回り・考え方のヒントも
こっそり書いてたりするので、
あわせて読んでいただけると嬉しいです^^

【番外編】
最も簡単に稼げた時代トップ3
1台のハイエナでマイナス●●万円

物語の続きを読みたい方は以下からどうぞ。

次回は僕の地獄のサラリーマン時代の話です。

第3章 逃げちゃだめだ、逃げちゃだめだ